よくできる同僚からのコメント
これまでNHMの使用にあたって色々と苦労した点がありましたので、
NHMを使って実データ実験を行う際の注意点を
※長文です
<地形データについて>
デフォルトでは0~90N、100~180Eの地形データしか入っていないので、
その領域以外で計算する場合はデータを取ってくる必要があります。
たとえば140W~180W、10S~40Nを取ってくる場合は
cd ${NHMDIR}/Const/GTOPO30/
wget ftp://edcftp.cr.usgs.gov/data/gtopo30/global/w180n40.tar.gz
wget ftp://edcftp.cr.usgs.gov/data/glcc/globe/latlon/gusgs2_0ll.img.gz
gzip -dc w180n40.tar.gz | tar xvf -
gzip -dc gusgs2_0ll.img.gz
${NHMDIR}/Tools/gtopo_tool/ gtopo_tool W180N40.HDR W180N40.DEM gusgs2_0ll.img gzip *.dat rm W180N40.* rm gusgs2_0ll.img
とします(ユーザーズガイドp.41~42参照)。
これで地形データをとってきた後、
もしmksfccnst.shの実行(地表面パラメータの作成)の際に地形ファイルが多すぎると言われたら
mksfccnst.shの18行目の
ln -s ${CSTDIR}/GTOPO30/* .
を
ln -s ${CSTDIR}/GTOPO30/g* .
ln -s ${CSTDIR}/GTOPO30/l* .
のように書き換えるとうまくいくかもしれません。
<地図投影法について>
NHMでは地球を投影した地図上でx軸、y軸を定め、格子点を決めているようです。
中緯度ではランベルト正角円錐図法を用いるのが妥当ですが、
低緯度ではメルカトル図法、高緯度ではポーラーステレオ図法を用いた方が歪みが少ないです。
parm.shのNPROJCを変えれば変更が可能です(ユーザーズガイドp.44参照)。
計算結果をGrADsで見る場合、図法によってctlファイルの
pdef、xdef、ydefの書き方を変える必要があるので気を付けてください。
<fcst.sh実行の際、ネームリストNAMFILの中のPOUTより下が読み取られないバグについて>
POUT=1000.,975.,950.,925.,900.,850.,800.,700.,600.,500.,400.,300.,250.,200.,150.,100.
の場所を&NAMFILの一番下に移動させて実行させるとうまくいくようです(カンマの有無に注意)。
以下は、気象研のMさんとメールをやりとりした時に分かったことです
<計算領域の経度の与え方(XLONまたはFLONC)について>
現バージョンのモデルを使用する際は、
経度は0以上360以下で与えるようにしてください(西経100度なら260)。
基準経度はダミーで与える時も念のためマイナスの値は使わないことをお勧めします
(はマイナスの値を与えると、ネスト後の計算がうまくいきませんでした)。
<タイムステップに関して>
熱帯の台風では、
15秒ぐらいの方がよいと思われます。
IDT=15
として計算してみてください。
<モデルトップ(22055m)に関して>
レーリ―ダンピングの層があることを考慮すると、この実験環境(熱帯かつ長め
の積分)においてはちょっと低過ぎる気がします。
計算機資源(メモリ)に余裕があるようでしたら、鉛直層を増やして
モデルトップを高くすることをお勧めします。
46層にする場合には以下のようにparm.shを変更すれば上端が30km近くになります。
----------------------
NZ=40 ⇒ NZ=46
MDLTOP=22055 ⇒ #MDLTOP=22055 (#でつぶす)
DZ=`caldz ${NZ} ${MDLTOP}` ⇒ DZ=1360
----------------------
ログファイルに出力される、SETZRP,SETZRWで設定された各モデル面高度が
確認できます。
<Mellor-Yamada Level3に関して>
現在調査中ではありますが、Mellor-Yamada Level3を使用すると、台風の循環が
圏界面付近まで異常に高くなります。それにより温度風バランスの関係から高度18km
付近に顕著な暖気核ができてしまいます。
現業で以前使用されていた、Deardorffの乱流エネルギー診断とノンローカルスキームを
使用すると、このような不自然なことはおきません。
fcst.shの中を以下のように変更すれば実験できます。
-------------------
MSWSYS(19)=31001 ⇒ MSWSYS(19)=111111
CLD_RD=3 ⇒ CLD_RD=0
-------------------
どうしてMellor-Yamada Level3を使用するとこのようなことが起きるのかは
よく分かりません。5月上旬に本庁の担当者との打ち合わせがあるので
相談してみますが、すぐに解決するのは難しいと思われます。
学生の方は時間的に余裕がないと思いますので、上空16~18km付近に不自然な構造
(暖気核や強い循環)が少しでも見られるようでしたら、早めに上記の設定に
変更することをお勧めします。
<数値拡散について(RF20km/fcst.sh)>
----------------------
DIFTG=-300.0 → DIFTG=0.0
----------------------
これは水蒸気適応拡散というもので、ある上昇流の値を閾値に
強制的に拡散を行うもので、物理的な原理に基づくものではありません。
ですので、0.0で効かなくしてよいと思います。
ただ極端に強い対流がたって不自然な場合には入れることも
検討した方がよいかもしれません。
<数値拡散について(RFnest/fcst.ch)>
----------------------
DIFNL=-600.0 → -2400.0
DIF2D=-600.0 → -1200.0
DIFTG=-300.0 → 0.0
----------------------
5kmの現在の設定では数値拡散(人工的な拡散)が大きすぎるようですので
弱めた方がよいと思います。
<constant_aertod_0608.datに関するエラーが出る場合>
おそらく、
constant_aertod_0608.dat
のファイルがなかっただけだと思います。
Const
というディレクトリの下にこのファイルを置いてください。
※constant_aertod_0608.datを使いたい人は/home/dmmg/y/に置いておくのでコピーして使ってください。
ちなみにfcst.shのAERSLを1にしていればこれを使う必要はありません。(ユーザーズガイドp.38参照)
いつのまにここまで、NHMを理解していたんだw
自分もしっかりがんばらなくては。
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